アルテミシニン誘導体+サリドマイド+セレブレックスを用いた癌代替医療

【アルテミシンはマラリアの特効薬】

アルテミシニン(artemisinin)は、中国で古くからマラリアの治療に用いられてきた青蒿(セイコウ)という生薬に含まれている成分です。青蒿はartemisia annuaというキク科ヨモギ属の植物で、英語ではsweet Annieやwormwoodと呼ばれ、和名はクソニンジンとかカワラニンジンと呼ばれています。アルテミシニンとその誘導体はマラリアの特効薬として治療に使われています。

【アルテミシニン誘導体は抗がん活性がある】

近年、このアルテミシニン誘導体が抗がん物質として注目を集めています。
図は、アルテミシニン誘導体 のArtesunate(アルテスネイト)という物質です。この物質は分子の中に鉄イオンと反応してフリーラジカルを産生するendoperoxide bridge を持っています。

癌細胞はトランスフェリンレセプターを介したメカニズムでを多く取り込んでいます。癌細胞内には鉄イオンが多く含まれ、アルテスネイトは鉄イオンと反応してフリーラジカルを発生するため、癌細胞が選択的に障害を受けることになるのです。アルテスネイトを投与する前に、鉄を投与して癌細胞内の鉄の量を増やしておくと抗腫瘍効果があがります。正常細胞は鉄をあまり含んでいませんので癌細胞に比較的特異的に細胞障害作用を示します。

アルテミシニン誘導体は抗マラリア薬として使用され安全性も検討されています。アルテミシニン誘導体を使った癌治療はまだ研究段階ですが、すでに臨床例での検討も行われており、有効性が報告されています。副作用の少ないので「体にやさしいがん治療」に有用な薬と言えます。

【アルテミシニン誘導体を血管新生阻害剤と併用すると抗腫瘍効果が高まる】

血管新生阻害剤を使用すると腫瘍は低酸素状態になるため、hypoxia-inducible factor-1alpha (HIF-1α、低酸素誘導性因子1α)という転写因子が活性化されて、低酸素の腫瘍細胞に酸素を供給するために血管新生を促進しようとします。癌細胞はトランスフェリン・レセプターの発現が強く鉄を多く蓄積していますが、HIF-1αにはトランスフェリン・レセプターの発現を高める作用もあるため、低酸素の腫瘍細胞はさらに鉄が蓄積しやすい状況にあります

アルテミシニンは鉄を含んだ細胞に対して選択的に毒性を発揮するので、鉄の補充とアルテミシンの投与を合わせた治療法に、血管新生阻害剤を用いた治療を組み合わせると、さらに抗腫瘍効果を高めることができます。(Med Hypotheses. 61(4):509-11. 2003)

また、アルテミシニン誘導体自身に血管新生阻害作用があることが報告されています。
ヌードマウスに移植したヒト卵巣癌細胞の実験で、アルテミシニンは血管新生と癌組織の増殖を抑制し、副作用は認めませんでした。In vitroの実験で、アルテミシニンは0.5-50 μMの濃度で用量依存性に血管新生を抑制しました。(Pharmacology71(1):1-9.2004 )

【アルテミシニン、サリドマイド、セレブレックスを用いた血管新生阻害治療】

癌組織を栄養する血管ができるのを抑えることができれば、癌の増殖を抑制することができます。
血管新生阻害作用をもった医薬品としてサリドマイドがあります。
COX-2阻害剤のセレブレックスにも血管新生阻害作用が報告されており、サリドマイドと併用することによって抗腫瘍効果を増強することができます。
さらに、アルテミシニン誘導体(アルテミシニンやアルテスネイトなど)を併用すると、さらに血管新生阻害作用を増強し、癌細胞に対する殺細胞効果も有するため、腫瘍を縮小させる効果も期待できます。

サリドマイド、セレブレックス、アルテミシニン誘導体製剤(ArtemixまたはArinate)を組み合わせた癌治療の方法
1。 朝食後にセレブレックス(200mg)1カプセル服用する:
COX-2阻害作用によって癌細胞の増殖と血管新生を抑制
2。 昼食後に鉄剤のフェロミア1錠とコロストラム-アルファを2包服用する:
コロストラム-アルファに含まれるビタミンCやラクトフェリンは鉄の吸収を促進する。ビタミンC,E,ローヤルゼリーの抗酸化作用によって癌細胞や正常細胞の酸化ストレスを軽減する(癌細胞における抗酸化酵素の発現を抑制しておくと、アルテミシン誘導体の殺細胞作用が効きやすくなる)
3。 朝食後にセレブレックス(200mg)1カプセル服用する:
 COX-2阻害作用によって癌細胞の増殖と血管新生を抑制
4。 就寝前にサリドマイド(100mg)1錠とアルテミシニン誘導体製剤(Arinate,Artemix)を服用する:
サリドマイドによって血管新生を阻害しながら、鉄を多く取り込んだ癌細胞にアルテ   ミシニンが作用してフリーラジカルを出して癌細胞を殺す
費用 1日分は
サリドマイド(100 mg)1錠:1500 円
セレブレックス(100 〜200 mg)1〜2錠:400〜800 円
アルテミシニン誘導体(ArinateまたはArtemix)1〜2錠(カプセル):400〜800 円
鉄剤(フェロミア)1錠:50 円

病状によって服用する薬の量は異なりますが、通常の場合(サリドマイド100mg1錠、セレブレックス200mg 2カプセル、Artemix 2カプセル、フェロミア1錠)で1日分が3150円になります。


アルテミシニン誘導体の使用法についてはこちらへ: