虎杖根(コジョウコン) Polygonum cuspidatum root  

【基原】タデ科のイタドリの根茎。

【薬能・薬理作用】

○アントラキノン・アントラキノン配糖体・フラボン配糖体・タンニン・多糖などを含む。がん抑制物質であるリスベラトロールを含む。 

○通常は緩下、利尿、通経剤として用いられる。オキシアントラキノン誘導の Polyonin を含み、加水分解すると emodin, emodin-monomethylether になる。緩下剤として便秘には、虎杖根を一日量9〜15gに水約400mlを加え、半量になるまで煎じ、一日2〜3回に分けて、空腹時に服用する。

○抗がん作用と強い抗菌作用があり、各種のがん患者に感染症を伴う場合によく用いられる。

○化学療法や放射線治療による白血球減少症には、虎杖根に鶏血藤・何首烏などを加えて服用すると白血球を増加させることができる。

○多量に服用すると、悪心・嘔吐・下痢などの副作用をおこすこともある。シュウ酸を多く含むため尿路結石の原因となることがある。

[常用量/日]10ー20g (保険適用外)

文献的考察

発がん予防とがん細胞を殺す作用を持つ「レスベラトロール」を含む
(注:レスベラトロールはぶどうの皮や赤ワインに含まれており、その抗腫瘍作用や発がん予防効果が話題になっている。生薬の中でこの物質を含むものとして虎杖根がある)

1)Resveratrol isolated from Polygonum cuspidatum root prevents tumor growth and metastasis to lung and tumor-induced neovascularization in Lewis lung carcinoma-bearing mice. (Kimura Y, Okuda H.)J Nutr 2001 Jun;131(6):1844-1849

虎杖根から抽出したレスベラトロールは、マウスに植え付けた肺がん細胞の増殖を 2.5 and 10 mg/kgの用量で抑制した。レスベラトロールの抗腫瘍効果は免疫系への作用(NK細胞やキラーT細胞の活性化など)ではなく、がん細胞のDNA合成の阻害や血管新生の阻害が関与していた。

2)Kinase inhibitors from Polygonum cuspidatum.(Jayatilake GS, Jayasuriya H, Lee ES, Koonchanok NM, Geahlen RL, Ashendel CL, McLaughlin JL, Chang CJ.)J Nat Prod 1993 Oct;56(10):1805-1810

虎杖根からチロシンキナーゼの阻害物質としてレスベラトロールが発見された。

3)Resveratrol and quercetin inhibit angiogenesis in vitro.(Igura K, Ohta T, Kuroda Y, Kaji K.)Cancer Lett 2001 Aug 28;171(1):11-16

レスベラトロールとケルセチンには腫瘍血管の新生を阻害する作用がある

4)Resveratrol, a natural phenolic compound, inhibits cell proliferation and prevents oxidative DNA damage.(Sgambato A, Ardito R, Faraglia B, Boninsegna A, Wolf FI, Cittadini A.)Mutat Res 2001 Sep 20;496(1-2):171-180

レスベラトロールには抗酸化作用があって、DNAの酸化障害を予防し抗変異原作用を示す。

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