がんの診断と治療においては西洋医学を優先すべきです。がんの悪性度や進行の程度を正確に判断するためには、西洋医学の診断法(組織検査、血液検査、レントゲン検査など)が必要です。漢方医学などの伝統医学の知識や診断技術では、自分の病気が悪性腫瘍(癌)であるのかさえ、正確に診断できないのです。また適切な西洋医学の治療により確実に治るがんも多くありますから、初めから伝統医学などの代替医療だけに頼ることは危険です。
外科や放射線科などがある総合病院では、西洋医学による「標準的な治療」を受けることができます。多くのがんに対しては西洋医学の標準的治療が最も確実です。
進行がんや難治性のがんに対しては、確実な治療法は未だに確立されていません。
難治性のがんに対して、大学病院や公立の研究機関などで、遺伝子治療や特殊な抗がん剤や放射線を使った「実験的な先端医療」が試みられています。
しかし、これらの「標準的ながん治療」も「実験的な先端医療」も、がんを攻撃することが第一の目標となっており、「体の抵抗力や治癒力を高める」ことに関してはあまり重視していません。漢方治療を含めて多くの代替医療は、体の抵抗力や治癒力を高めることにより、西洋医学的な治療の欠点や足りないところを補うことができます。
漢方薬に使われる生薬の中には、抗がん活性をもったものもあります。代替医療の中には、特殊な健康食品や薬を使ってがん細胞を殺すような治療法もあります。また、末期がんの治療では、患者さんの肉体的や精神的な苦痛を和らげる緩和医療が中心になりますが、漢方治療を併用することにより全身状態をより良い状態にもっていくことができます。
「がんの集学的治療」とは、個々のがん患者さんの状態に応じて、「標準的な治療」、「実験的な先端医療」、「体の治癒力や抗がん力を高める医療」、「緩和医療」など様々な治療手段を、適切に組み合わせで活用することです。
「がんの全人的治療」とは、がん細胞を殺すことだけを目標にするのではなく、体の抵抗力や治癒力や精神的な問題などにも目を向けることです。
がんの集学的治療と全人的治療を達成する上で、漢方治療は極めて有用な治療手段を提供できます。