白花蛇舌草 (びゃっかじゃぜつそう) Oldenlandia diffusa

本州から沖縄、朝鮮半島、中国、熱帯アジアに分布するアカネ科の1年草のフタバムグラの根を含む全草を乾燥したもの。田畑に生える雑草で、二枚の葉が対になっているためフタバムグラの名がある。

肝臓の解毒作用を高めて血液循環を促進し、白血球・マクロファージなどの食細胞の機能を著しく高め、リンパ球の数や働きを増して免疫力を高める。各種の腫瘍に広範に使用され、特に消化管の腫瘍(胃ガンや大腸ガンなど)に対しては比較的よい治療効果が報告されている。

脂肪肝やウイルス性肝炎やアルコール性肝炎などの各種肝障害で傷ついた肝細胞を修復する効果があり、さらに抗菌作用や抗炎症作用があるため、扁桃腺炎・気管支炎・咽喉炎・虫垂炎などの感染性疾患にも有効。

飲み易く刺激性が少ないので、中国では白花蛇舌草の含まれたお茶や煎じ薬はガン予防薬として人気を呼んでいる。

【白花蛇舌草と半枝蓮の組み合わせが各種のガンの治療に使われている】

台湾や中国では古くから消炎、排膿、解毒、殺菌作用、ヘビによる咬傷を治すなどの効能で、白花蛇舌草と半枝蓮が民間薬として使用されている。さらに、胃癌、大腸癌、肝癌などの消化器系癌や肺癌・子宮癌・乳癌に対する効果も指摘されて広く使用されている。日本においても入手しやすく、抗ガン剤の補助療法や進行ガンの治療などに試みられることも多くなっている。

両者は通常、併用されることが多く、進行ガンの治療では、白花蛇舌草は20〜60g、半枝蓮は10〜30g程度を1日量の目安として煎じ薬として使用される。どの程度の量が適当かはあまり根拠はないが、例えば、ある民間療法の処方では白花蛇舌草と半枝蓮は2:1で使用されていて、白花蛇舌草65gと半枝蓮32.5gを1日量として400 mlのお湯で煎じて飲用するという方法がある。

進行ガンや化膿性疾患など重症の場合には、1日20〜60グラムという大量が必要だが、ガン治療後の再発予防にはその3分の1程度を飲用すればそれなりの効果は期待できる。再発の危険が高いとかすでに転移がある場合には量を増やすと効果を高めることができる。

進行ガンに使う量の1/3程度の白花蛇舌草(6〜12グラム/日)と半枝蓮(3〜6グラム/日)を煎じてハーブティーとして毎日少しずつ飲用すると、ガンに対する免疫力を高めてガン再発を予防する効果が期待できます。

いずれも漢方専門薬局で入手できる。

【白花蛇舌草と半枝蓮の抗腫瘍効果の研究】

白花蛇舌草と半枝蓮は中国の民間薬であり、ガンに対する有効性は経験的なものであるが、この2つの生薬の抗ガン活性に関する科学的な研究が、日本や欧米の医学雑誌などにも掲載されるようになった。

2000年の和漢医薬学雑誌には「半枝蓮と白花蛇舌草の癌細胞増殖抑制効果と自然発症肝腫瘍マウスの延命効果」(和漢医薬学雑誌、17:165-169,2000)という題の論文が掲載されている。この研究では白花蛇舌草65gと半枝蓮32.5gを400 mlの熱水で抽出した液を作成し、肝臓癌を自然発症するマウスに自由摂取にて投与して、生存期間をコントロール群(薬を飲まなかったグループ)と比較検討している。肝臓癌が発病すると寿命が短くなり、コントロール群の平均生存期間は55週齢であったのに対して、投与群では76週齢であった。約1.4倍に生存期間を延ばしたことになるが、投与群にも最終的には全例に肝臓癌の発生しているため、ガン発生を防止するというより、ガン細胞の増殖速度を抑えることによりガン化の進展を抑える可能性が示唆されている。また培養ガン細胞を用いた実験で、ヒトの乳ガン細胞や前立腺ガン細胞の増殖を抑える効果も報告している。長期間の投与でも有害作用は認められていないため、ガン再発のリスクが高い場合の予防的な投与や、ガン発見当初より服用する価値があることも示唆している。

米国カリフォルニアのロマリンダ大学医学部の細菌学のWong博士らは、半枝蓮と白花蛇舌草を投与すると、マウスに移植した腎臓癌細胞(Renca細胞)の増殖が抑制され、その作用メカニズムとしてマクロファージが活性化して腫瘍の増殖を抑制することを報告している。また、Wong博士らは、半枝蓮と白花蛇舌草には発ガン物質の活性化(変異原性)を抑える可能性も報告している。

【文献的考察】

Oldenlandia diffusa and Scutellaria barbata augment macrophage oxidative burst and inhibit tumor growth. (Wong BY, Lau BH, Jia TY, Wan CP.)
Cancer Biother Radiopharm 1996;11(1):51-56
米国カリフォルニアのロマリンダ大学医学部の細菌学のWongらの報告。
半枝蓮と白花蛇舌草を投与すると、マウスに移植した腎臓癌細胞(Renca細胞)の増殖が抑制された。その作用メカニズムとしてマクロファージを活性化して腫瘍の増殖を抑制することを報告している。
(注)それぞれの薬草の量は1日4mgで検討されており、体重換算で人では1日8−10g程度に相当する。マウスは人よりも代謝が早いので、体重あたりで換算するとマウスの方がより大量の薬が必要な事が多い。したがって、人で1日10g程度でも十分に効果が期待できると推測される。

Immunomodulating activity of Chinese medicinal herbs and Oldenlandia diffusa in particular. (Yoshida Y, Wang MQ, Liu JN, Shan BE, Yamashita U.)
Int J Immunopharmacol 1997;19(7):359-370
黄耆(Astragalus membranaceus)と白花蛇舌草(Oldenlandia diffusa)はマクロファージを活性化して、IL-6や腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor)の分泌を促進する。(in vitroの研究)

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