第5章:血行改善とリラクセーション法:温泉、運動、マッサージなど

 4.マッサージで血液とリンパの流れを良くすると治癒力が高まる

     【概要】
     【筋肉の血液循環や新陳代謝を促進することは体全体の自然治癒力の増強につながる】
     【マッサージは静脈とリンパの流れを促進する】

【概要】

 マッサージは他人からやってもらわなければなりませんが、温泉・入浴・運動と同様に体の血液やリンパの流れを良好にし、心身ともにリラックスさせて自然治癒力を回復・増強させる手段の一つで、がんの再発予防にも効果が期待できます。

【筋肉の血液循環や新陳代謝を促進することは体全体の自然治癒力の増強につながる】

 運動のし過ぎで筋肉の疲れや痛みが出てきたときには、筋肉を揉んだりさすったりすると早く疲れや痛みがとれます。長時間デスクワークして頚や肩の凝りが出てきた時には、ストレッチ体操をしたり、痛い所を揉んだり指で押すと気持ちがよくなります。
 これは筋肉を使いすぎると疲労物質である乳酸などの老廃物が蓄積して筋肉痛や凝りの原因になるからです。デスクワークの場合には一見筋肉を使っていないように思いますが、同じ姿勢を長時間とることは筋肉の緊張状態を強いることであり、筋肉は疲労してきます。ずっと同じ姿勢では血液が停滞して、乳酸などの老廃物の運搬が妨げられて蓄積していきます。このような時に積極的に筋肉をマッサージしたり揉むことにより、筋肉をリラックスさせ血液循環を促進すると、老廃物の代謝を早めて筋肉の凝りや痛みを早くなくすことができます。
 筋肉の血液循環や新陳代謝を促進することは体全体の血液循環や新陳代謝の改善にもつながり、体の自然治癒力を高め、疲労回復を早めることができます。
筋肉の疲労物質を溜めないことは、体の自然治癒力を維持するためにも大切で、がんの再発予防にも効果が期待できます

【マッサージは静脈とリンパの流れを促進する】

 あんまマッサージ指圧師という資格があり、これはあんま(按摩)マッサージ指圧の3種類の技術を指定の学校で学び、免許を受けた人に与えられる国家資格です。これらの手技療法はいずれも、体の一部を揉む・叩く・撫でる・ 圧すなど手技を組み合わせて、筋肉の緊張を緩和したり血行を改善することによりからだの疲れや機能を回復させようというものです。各々の手技は似た部分もありますが、手の使い方などかなり違います。
 
あんまは中国で発達した療法で、按摩の按という字は”おす”、”摩”という字は”なでる”という意味で、筋肉を揉むことを主体にしているのが按摩の特徴です。通常、衣服の上から行ない、揉む、圧す、叩く、撫でるなどの手技を組み合わせて、体の中心から指先(末端)に向かって遠心性に手技を進めます。
 
マッサージは古代ギリシアの時代から西洋で行わ れてきた治療法で、フラ ンス、ドイツなどで発達し、日本へは明治中期に伝えられました。massageという言葉はフランス語です。おもに手指や手のひらで直接皮膚をさする治療法で、滑りをよくするためにオイルやパウダーなどを使ったりもします。その際、按摩・指圧が遠心性に施術するのに対して、指先(末端)から身体の中心に向かって(求心性という)手技を進めることになっています。求心性ということは静脈やリンパの流れを促進することになります。日本ではマヒの機能回復などに取り入れられて、主に病院で発展してきました。
 
指圧は大正初期に日本で生まれました。古来のあんま術やマッサージ療法の圧迫法を抽出し、アメリカのカイロプラクティックやオステオパシー(整骨療法)など近代的手技療法の理論や技法をとり入れて発展させてきたものです。特徴は、指などを使って押すことを主体とします。
 がんの再発予防の目的には、全身の血行改善やリラクセーション効果もあるマッサージが適しています。後述のアロマテラピーを併用したマッサージはがんの治療にも利用されています。

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